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中高生クイズ活動の支援について(前編)

2017/05/13 blog

4月から日本クイズ協会の理事をしております神尾友也と申します。初めてブログを執筆いたします。よろしくお願いいたします。

 

おそらくは、名だたる理事の方々の中で、私の名前が一番よくわからないかと思われます。それもそうです。私自身はクイズ研究部に所属したこともなければ、クイズサークルに所属したこともない、自分で言うのもアレですが、異色な存在です。

 

現在、埼玉県にある私立中高の教員として、クイズ研究部の顧問を立ち上げ期から7年間務めております。私の場合、名前を出すよりも、顧問という肩書を出す方がわかっていただける方もいらっしゃるかもしれません。

 

私はクイズを本格的にしたことはありませんが、本格的にクイズに取り組んだ生徒、クイズをやめてしまった生徒、クイズに興味を示さなかった生徒、様々な生徒を見てまいりました。

 

その中で、私の中にずっとあった思い。目をキラキラ輝かせながら、文字通り1問に笑い1問に泣く生徒たちのクイズ活動の公的地位を、もっと上げてあげたい。そして、現在クイズに勤しむ子が、さらにクイズをしやすく、安全に楽しめる環境整備をしてあげたい。そして、これからクイズをしたいと思う子たちが、クイズをしやすい環境を学校の場で整えたい。この思いを、クイズ協会では実現していけると確信し、私の中で待ちに待った思いでこの世界に飛び込みました。

 

私がクイズ協会理事として実現していきたい柱は3点に集約されます。以下に述べてまいります。

 

1)中高生クイズ活動の公的地位の上昇

 

現在、中高生がクイズ研究部ないし個人でオープンクイズ大会に出ていることは、学校からはどう評価されているか。結論から申し上げれば、残念ながら評価されていないのが事実です。私としては極めて残念です。例えば、高校生向けのテレビクイズ番組を見ていると、テレビに映っている部分、映っていない部分で、本当に子どもたちは青春をかけて戦っています。1問に涙し、1問に笑う。これが教育的観点から捉えたときに、人間の内面的成長にどれほど大きなプラスを与えるかは計り知れません。しかし残念ながら、この活動は彼らの中の青春の1ページで終わってしまうのです。これは非常に残念であり、世間的に見ても、バラエティの一環としか捉えられないのは、戦った子どもたちを前にするととても残念でありません。

 

抽象的な話が続きましたが、まずはこの中高生のクイズ活動の公的地位を浮上させたい。具体的には、この活動が生徒要録に記載できるようにし、彼らの調査書に反映させたい。彼らの思い出にとどまらず、公的文書として残してあげたい。これが公的地位の浮上です。こうすることによって、例えば大学入試で彼らにとって有利に働くかもしれません。そういった実利的な面に限らず、世間一般からは認知されにくいクイズ活動を、公的に認知してもらえて、評判的にも有益に働くと考えます。

 

そのためには、大会が公的団体によって主催される必要があります。高校の文化部で言えば、最たるものは高文連になります。この高文連加盟に向けて、早急に動き出す必要があるかと考えます。高文連加盟を目指すには、クイズの中心団体が主催する大会が、文科省に後援され継続開催される、例えばそういう実績を積み重ねる必要があると考えます。

 

なぜ高校野球、甲子園が多くの人の感動を呼ぶのかには、多くの理由がありますが、子どもたちが青春をかけて闘うからにとどまらず、学校の威信をかけ戦うからでもあるでしょう。その学校出身者はまるで我がことのように応援します。そうでなくとも、都道府県代表のプライドをかけて戦う、そこに郷土性を見出す出身者は、郷土愛から熱心に応援する。その背景が、あの熱気を生み出すのだと考えます。さらに、甲子園という聖地性、また、当たり前ですが、長年変わらぬルールがある。ホームベースを踏めば1点。複雑なルールの中にも、変わらぬシンプル性がある。ルールが定まっている。そういう点も、見る人を魅了します。

 

これを、高文連加盟を目指すこの大会にあてはめましょう。「クイズの甲子園」。まず学校単位で参加することが最大のポイントであると考えます。公的地位の確保には、保護者が同意するだけではあくまで家庭活動・個人活動の一環に過ぎないので、学校を挙げて取り組む、ということが不可欠です。さらにこれは、後述する安全面でも不可欠となります。

 

さらに、シンプルなルールを定めること。これが「競技クイズ」であると考えます。クイズにはさまざまな種類があり、私はどのようなクイズも大好きです。私が顧問をする部活でも、創設以来のモットーが「すべてのクイズを愛する」です。その中で、教育的観点から捉えた際に青少年に一番響くと考えるのが、一瞬の中に知識を集約し、推察して結論を出す競技クイズの形式であると考えます。実際に競技クイズに勤しむ生徒に耳を傾けても、この形で真っ向から勝負したい、そういった声を多く耳にします。早く押した者に解答権、正解ならば正解音が鳴り響き、1ポイント。クイズを知らない人でも、極めてシンプルに捉えられると考えます。私案としては、例えば「今年度の大会はこの3万語に関する問題を出題します」などと枠を定めても面白いかなあと思っております。合唱コンクールのテーマ曲、ディベート甲子園の論題のような形ですね。また、問読みのやり方なども、競技かるたでいう専任読手のように公式ライセンス化していけると、さらにルールとして確立するだろうと考えております。あくまで、中高生以下の大会に限った話です。すべてのクイズ大会に当てはめようという話ではありません。

 

多くの学校がフェアに真正面に戦える土壌を整備し、盛り上がりを見せる。すると、公立校は公的地位の上昇、私立校は知名度の上昇という点でメリットが生まれ、より多くの参加が望める。そうすることで大会そのものへの支援者が増える。教育的価値が高いと判断すれば、教育業界には賛同してもらえることでしょう。また、マスコミの方にも取り上げていただけると信じております。そうなれば金銭面的な援助として遠方の学校に交通費の助成などが可能となります。地方予選の開催にまでなっていければ、それこそ本願を成就したことになりますね。(後編へつづく)