8月25日(土)に開催した「第1回 ニュース・博識甲子園」の全国大会。
問題作成を担当した田中健一さん、司会の日高大介さん、大会を観戦した現役東大生クイズプレイヤーの水上颯さん、日本クイズ協会代表理事の齊藤喜徳が大会を振り返り、印象に残った名シーンや、「ニュース・博識甲子園」の未来について語り合いました。
一回戦から決勝まで、すべてが名勝負
ーーまずは問題作成を担当した田中さん。高校生の答えぶりなどいかがでしたか。
田中:期待した通りのパフォーマンスを皆さん見せてくれました。曖昧な答えもなく、すっきりとした答え方。見ていて清々しいなと思って、とてもいい思いをさせていただきました。
ーー日高さんの素晴らしい進行で、高校生たちもどんどん熱くなっていきました。
日高:奇しくも今年は(野球の)甲子園の第100回が非常に盛り上がりました。参加した子たちの思い出に残る大会になればいいなと思います。「クイズの甲子園」という言葉がありますが、(ニュース・博識甲子園が)長く続いて大きな大会に育っていけばいいなと思います。
ーー水上さんを見てクイズを始めた子もたくさん全国大会には出場していました。開成高校の後輩も出場しました。
水上:高校生が一番一番、真剣に取り組んでいて、たとえば自分の知識でものすごく早いポイントで正解することもあれば、考えて、考えてこれじゃないかな、と悩んで答えている姿もありました。一回戦から決勝まで全部が名勝負と言ってもいいかなと思います。みなさんのこれまでの努力と、大会で出たときのパフォーマンスが釣り合って、いい勝負が生まれたのかなと思います。
全国大会で生まれた数々の名シーン
日高:名勝負は田中さんのいい問題があったからこそでもありますよね。印象に残ったシーンは色々あるんですけど、一番僕の印象に残ったのは決勝の「アラカンといえばアラウンド60歳。アラハンといえばアラウンド何歳でしょう」。各チーム80歳、90歳と答えて、どちらも不正解になりました。本当の正解は100歳。あの決勝のピリピリした中でにこやかな笑顔がうまれました。決勝なんだけど楽しんでクイズをしている、象徴的なシーンだった気がしますね。会場のみなさんも「ああー(ハンドレッドか)」ってなって。
ーー準決勝でも名シーンがありましたね。最後の問題でもし旭丘高校の選手が「清原深養父」(清少納言の曽祖父)を答えられたら、同点決勝でした。
田中:あれは超難問だったんですが、「清原」までは出せるヒントは散りばめられていました。
日高:準決勝で出題した24問の中でも一番難しい問題が残ったねと、田中さんと話していたんです。
田中:ただ、百人一首なのでもしかしたら知っている人がいるかもしれない、という気持ちもありました。
水上:もしかしたら旭丘高校の中に知っている選手がいて、たまたまその場に座っている可能性もある。僕自身、あの問題は難しいと思っていて、ドキドキしていました。もしかしたら、逆転あるかもしれない、という。
日高:清少納言の父親、清原元輔まではよくクイズに出るんですよね。そのお父さんのお父さんを押さえていたらかっこいいなと思ったんですけど。次はまた一つ大きくなって、帰って来ることを期待したいです。
齊藤:「清原深養父」の前が歌舞伎十八番の「象引」の問題だったんですよね。
田中:あれも結構、難しい問題ですよ。
齊藤:そうです。みんなよく知っているなぁと思って。
田中:あれは(歌舞伎の)ストーリーを知らないと答えられない問題でした。
水上:ストーリーを知っていた、というよりもどちらかというと、歌舞伎十八番のタイトルを思い浮かべて、当てはまるものを選んで導き出したのがほとんどだったと思います。
日高:裏でチラッと聞いたんですが、実は優勝した栄東高校は「ぞうひき」か「ぞうびき」か迷ったらしんですよ。「ぞうびき」は不正解なんです。なので、「ぞう」をひらがなで、「引」を漢字で書いた。そういう小さい技の積み重ねで(栄東高校は)勝っていったんだと思います。
田中:厳しい判定ですけど濁点あるなしは重要ですからね。
ーー三内丸山遺跡はどうでしたか。
田中:「さんだい」と書いていたらバツです。あれは「さんない」丸山遺跡が正しいです。
日高:漢字で書いているチームもいましたね。三内丸山遺跡はよく学校の問題でも出るので、みんな普段からよく勉強しています。普段の勉強の知識もこういうところで生きてくる、と。
加計学園を題材にした問題でファインプレー
ーー今回、大会名に「ニュース」と冠がついています。その中で象徴的だったのが加計学園の(岡山理科大獣医学部の所在地を問う)問題です。
一同:あー。
水上:あれはクイズではなかなか聞くことのない問題です。ちゃんとニュースをチェックして加計学園問題を見ていないと解けません。しかも、唯一、正解した松本深志高校の富取くんがすごいのは、ニュースを見ていたことと、自分の持っている地理的な知識も合わせて、そのあたりだったら今治だろう、と導き出したところです。他のチームは「岡山だったら倉敷かな」と思って倉敷、と答えてしまったんだと思います。
日高:倉敷、倉敷、倉敷、と他のチームが出揃っても、一切不安はなかった、という彼の度胸にも脱帽です。松本深志高校はいろんな知識を複合させて正解に導くシーン多かったように思います。
将来は47都道府県で予選会を
ーー来年に向けての意気込みなどを教えてください。
齊藤:第2回はもちろん開催したいです。ただ、今年は予選を全国7会場で開催しましたが、それでもカバーしきれていない地域がありました。具体的に言うと、例えば北陸。来年はもう少しカバーしていきたいと思っています。また、全国大会には1年生も何人か出場していましたが、一応、高校に入学してからそれなりに月日は経っているとはいえ、中学生にもすごい選手がいるのかなと感じました。中学生もそうですし、小学生も含めて、若い子もカバーした大会もできるといいなと思っています。
日高:僕は日本クイズ協会の人間ではありませんが、いずれは47都道府県で小中高校の予選ができるとよいですね。
ーー若いクイズプレイヤーが育ってくるといずれ水上さんは彼らとライバルとして戦うことになるかもしれません。そのあたりはいかがでしょうか。
水上:僕たちの背中を見て、クイズを知ってくれる人、クイズを始めてくれる人がいることがうれしいですし、彼らがクイズを続けてくれて、理想を言うと、最終的には僕たちを超えるくらいの強さになってくれたら本当にうれしい。ずっと見守っていきたいし、対決することがあれば絶対に受けようと思う。その時は、先輩としての意地もありますし、お互いに成長しようという気持ちもあります。
ーーもし対決したらやっぱり勝ちたいですか?
水上:勝ちたいですね。(笑)
ーーありがとうございました。
「第1回 ニュース・博識甲子園」全国大会、Paraviで配信中
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