「高校生以下向けクイズ体験会」のレポート、前回の小学生の部に続いて、今回は中学生の部です。今回、最も参加者が多いグループとなりました。さらに男子と女子の割合がほぼ半々、しかも女子の多くが単独での参加でした。正直、中学生の女の子が1人で参加するには、相当ハードルが高い催しだと思います。また、中には電車でもかなりの時間を要する遠い地域から足を運んでくれた生徒さんもいました。そこまでしてでも、この体験会に参加したいと思わせるクイズの魅力がテレビのクイズ番組や競技クイズ漫画『ナナマルサンバツ』とそのアニメ化などを通じて、今の中学生たちに響いているのだということを改めて実感させられました。
思えば自分と同世代のアラフィフは『アメリカ横断ウルトラクイズ』、一回り下のアラフォー世代は『史上最強のクイズ王決定戦』etcを、中学生の頃に見てクイズにハマった人が多く、今の中学生たちが『東大王』や『Qさま!!』、『ナナマルサンバツ』などでクイズにハマるのは無理からぬことなのかもしれませんね。
さて、そんなクイズの魅力に突き動かされて、体験会へとやって来た中学生たちでしたが、天真爛漫で明朗快活だった小学生たちとは打って変わって、いざ解答者席につくと思春期真っ只中の恥じらいや緊張が隠せない様子で、最初は総じておとなしそうな印象でした。それでも、憧れの早押しボタンを押し続けるうちに、まるで自己暗示でもかけているかのように少しずつ集中力が増していき、気分の高揚していく感じが見て取れ、ボタンの押し方にも徐々に気迫がみなぎり出し、終盤には正解したときにガッツポーズが飛び出すまでになっていました。
また早押しクイズは2回行ったのですが、間に○×クイズにも挑戦してもらいました。ルールは往年のファンには懐かしい○と×の解答エリアに移動しながらの脱落形式です。ここで体を動かしたことによって、よりリラックスできたのか、2回目のほうが前述のとおり、みんな積極的でした。
ちなみに最終的な総合成績は中3の男子が第1位、中3の男子と女子が2位を分け合い、中2の女子1名と中3の男子2名が3位でした。また唯一の中1だった男子が4位と健闘し、上位に入った生徒以外の女子にもそれぞれ見せ場があり、クイズが年齢や男女を問わず競い合って、楽しめるものだということを証明してくれたように思います。
終了後、小学生たちと同様に、中学生の皆さんからも「次回はいつですか?」「また来ます!」と言ってもらえてうれしかったです。また、普段どんなふうにクイズに取り組んでいるのか生の声を聞くことができて、体験会だけでなく、今後、協会が様々な活動を進めていく上で大変参考になりました。なかでも3位に入った中2の女子が、クイズをしてみたいと思っている中学生、と言うか、むしろクイズ界が抱えている課題とも言える、こんなお話を聞かせてくれました。
“学校にクイズが好きな友だちはいるけど、クイズ研究会とかはない。でも、クイズがしたいので、クイズ研究会がある高校の学園祭に行ってみたり、この間も「高校生オープン」という大会に参加をしてみました。でも学園祭では早押し機のボタンチェックくらいしかできないし、高校生オープンも予選のペーパーで落ちちゃったので、ずっと見てるだけでした。”
イノセントにというか無邪気にクイズがしてみたかったと推測される小学生と違って、中学生はこの中2の女子のように、クイズをする機会や場に、心底飢えていたのでしょうね。単独で参加していた他の女子や友だち同士で来ていた男子たちも、それは同じで、とにかくクイズ、特に早押しクイズをどうしても体験してみたかったのでしょう。
やはり、在籍校にクイズ研究会がない時点で、クイズの始めかたや取り組みかたがかなり制限されてしまいます。また中学生のみならず広い意味での初心者の受け入れ態勢が、現在のクイズ界において十全に整備されていないという課題を改めて突きつけられたように思いました。
そして、仮に在籍校にクイズ研究会があっても、個々の部員がそれぞれ存分にクイズを楽しめているかと言うと、実はそうでもないかもしれません。そのあたりについて次回の高校生の部のレポートでお話したいと思います。
(高校生の部に続く)