一般社団法人日本クイズ協会(以下、協会)・会長の齊藤喜徳です。8月の東京会場に続いて、9月 10日(日)に大阪でも「高校生以下向けクイズ体験会」(小学生の部、中学生・高校生の部)を開催 いたしました。当日の模様や参加者の皆様から寄せられた感想などをご紹介してまいります。
まず最初は小学生の部からです。東京会場で1年生の参加を特例で許可することがありましたが、大阪会場にも1年生の男の子が、6年生のお兄ちゃん、3年生のお姉ちゃんと来場しました。そこで「出たいですか?」と聞いてみると、待ってましたとばかりに元気よく「はい!」とお返事があったので、三兄弟仲よくそろって参加していただくことにしました。途中、三択クイズで一人だけ答えを間違えてしまって、泣き出してしまう1年生らしい場面もありましたが、参加していた子ども たちがみんなで「頑張れ!」と励ますとにっこり笑顔になってくれました。
でも、この1年生の男の子は泣いてもただでは終わらないスゴい子でした。早押しクイズでは最年少とは思えないスーパー解答を連発! 「犬や猫の足の裏にある/、…」で押して「肉球」を、「おとぎ話「浦島太郎」で/、…」で押して「亀」を、「漢字の画数で、十は2画、百は6画ですが/、…」で押して「3画」を、と問題文がどのように続くのか先を読んで熟考して正解を導き出す、何とも末恐ろしいセンスのよさを見せてくれました。東京会場と同じく1問正解で3ポイント獲得のハンデをつけたとはいえ、何と最終的に総合成績でトップを獲得、お兄ちゃんとお姉ちゃんも仲よく2位と、そろって上位を独占しました。そう遠くない将来、この三兄弟がクイズ界を席巻するかもしれませんね。
しかし、大阪会場のスーパーキッズは、三兄弟だけではありませんでした。三兄弟の末っ子ちゃんはハンデをつけてもらっていましたが、1問正解1ポイント獲得でダントツの正解数を積み重ねて堂々の1位を獲得したのは何と5年生の女の子でした。この子も本格的な早押しクイズを初めて体験したとは思えない、中高生やオトナ顔負けの答えっぷりでした。この子をはじめ大阪会場では女の子が大活躍、前述のとおり2位には三兄弟の真ん中のお姉ちゃん、そして3位も5年生の女の子でした。全体的にいかにも関西の子どもらしいというか、ほかの参加者もみんなノリがよく大いに盛り上がりました。
それにしても一体何なんでしょうか? 初めて早押しクイズをしたとは思えない子どもたちのセンスのよさは。何より素晴らしいと思ったのは勇気と執念です。早押しクイズでボタンを押すことは経験者であってもとても勇気が必要です。むしろ経験を積むにつれ逆に怖くなって押せなくなっていきます。子どもたちの果敢にアタックする勇気は経験を積んで場慣れしてからも失ってほしくないものです。早押しクイズはボタンを押さなければ解答権が得られないのですから。そしてボタンを押すのが早すぎたり、ボタンをつけたものの答えが出て来なかったとき、どの子もみんなあきらめずにギリギリまで答えをひねり出そうとする執念にとても感動しました。今回参加してくれた子どもたちにはこれからも腕を磨いていってほしいものです。
終了後には、次回開催を熱く望む子どもたちの声や、「これから、いろんなジャンルに興味をもって、クイズを通して積極的になってくれそうな予感がします」といったご父兄の声を聞くことができました。いわゆるアクティブラーニングの一環としてのクイズにご期待を寄せる声も伺いました。
ただ何と言っても盛り上がったのは、いわゆる感想戦でした。前述のとおり我々スタッフも子どもたちのセンス抜群のスーパー解答の連続に大興奮でしたが、当事者の子どもたちと親御さんの興奮はそれ以上だったと思います。その場で初めて出会ったと思えないくらい、子どもたち同士、親御さん同士で「あの押しはスゴかった」とか「○×で少ないほう選んで正解してカッコよかった」といった感じで交流を深めていただきました。その様子を拝見しておりますと、往年の『ウルトラクイズ』で想い出を共有する出場者同士が一生の友人になっていったように、「体験会で出会った子どもたちも友情を育んだりライバルになったりするのかな?」とか、「家族ぐるみで交流を深めていくのかな?」などと思いをめぐらせ、しみじみ感じ入ってしまいました。
同時に、体験会は、その場かぎりの楽しみだけではなく、クイズ界の未来を明るくするための種まきなのだと改めて実感し、この試みを継続させ、よりよいものにしていきたいと思いを新たにしました。(中学生・高校生の部に続く)