2)中高生クイズ研究部の安全面確保を含む活動支援
今なぜ学校が本腰を挙げて活動を支援しないのか。推測ですが、その理由はシンプルであると考えます。「学校にとってメリットがないから」だと考えます。公的団体のなかったクイズという媒体において、子どもたちがいくら大会という言葉を用い、その大会の重要性を説いたとしても、クイズの世界にいない人からすれば理解し得ません。であるからに、子どもたちは個人で出かけざるを得ない。クイズのことを理解している教員がいたとしても、大会「引率」とはならないのです。公的団体からの選手派遣依頼文書が届かない以上、教員は出張とはなりません。いわば、一趣味集団に子どもたちが出かけていくというのが現状です。その中で、万が一、事故が起こった場合、責任の所在はどうなるでしょう。一個人が負えるかは疑問です。そもそも未成年です。家庭の問題で収まるか。理解のある保護者様でしたらそこで終わってくださるかと思いますが、なかなかそうはいかないのが現状です。学校は把握していたのか、そういう議論に発展したとき、トラブルになるのは間違いないでしょう。そうなると、学校名のマイナス、そしてクイズのイメージに対するマイナスは計り知れません。実は、現在オープン大会等で学校名が多く使われているのは、この安全面の責任問題となったときに極めて問題なのです。安全面に限らず、未成年が金銭を扱い、トラブルになったとしてもまた同様で、現状それが起こり得る余地が十分あります。そのような余地がある中で、教員が付き添うということは、トラブルの際、全責任を負うということになります。極めてリスキーです。がゆえに、多くの学校は我関せず、という形をとっているのかと考えられます。
そこで、クイズ協会が主催となる大会では責任の所在を明確化できるよう、学校との連携を協会を通して行っていきたいと考えております。具体的には、保険加入に加え、選手派遣依頼文書を学校へ出し、教員の引率を義務付け、責任の所在を明確化させる。保護者了解の上での学校監督下で、クイズそのものだけを伸び伸びと活動させる。これが目指すことかなと一教育者として考えます。その中で、現在話題となっている外部指導者というものを積極的に取り入れられる土壌整備・支援も協会を通じて行えればと考えております。現時点でも全国各地でジュニア層育成に貢献されている方々が多くいると存じ上げております。そういう方々を、学校の一部に組み込む。外部指導者として関わっていただければ、子どもたちもより専門的なクイズの環境を享受でき、また学校としても、部活動負担が軽減される。お互い良好な関係が築き上げられると考えます。過去のクイズ界を担ってきた方々がこのように教育活動に関連していただければ、クイズそのものの公的地位の発展につながります。そうすることで、今までの活動の公的地位が世間一般として大いに認められるとも考えます。
しかし、このようなことはあくまで私案であり、また大いに私の活動経験から良いと考えられることを述べているに過ぎません。そこで、現在クイズ研究部が学校に存在する学校、及びクイズ研究部がないが長年クイズで活躍する中高生を輩出する学校に対し、どういった点で現在お困りか、または大々的に活動できないかという点についてヒアリング調査を行いたいと考えます。そして、先述の協会主催の大会の場などで顧問会議を実施し、ディスカッションを行って協会が改善に貢献できるところをバックアップしていきたいと考えております。このヒアリング調査のやり方は、いきなり各校に送り付けるという形でなく、直近で卒業した大学生や若手社会人の方々にご協力を依頼し行っていければという私案も温めております。
子どもたちに尋ねるとシンプルです。競技クイズのナンバーワンになれる場が欲しい。多くの大人にほめてもらいたい。褒められると育ちます。認められることは、この上ない喜びです。
3)クイズの間口を広げる~クイズ研究部設立支援~
この夏、『ナナマルサンバツ』がアニメ化され、中高生を中心にクイズに興味を持ってもらえる機会が今までに比べ格段に増えてくるだろうと考えます。そうすると、受け皿整備が急務になります。子どもたちを見ていると、単純に楽しみたい、1問正解に喜びたいという子どもが、なかなか生きにくいというのが現状かと思います。具体的には、入ってすぐの大会がオープン大会であり、その場の出来上がっている空気に気おされて、魅力をなくしてしまう。そういう子どもを何人も見てまいりました。そこの部分を、段階的に敷いていければと考えております。具体的には、入口としての初心者体験会、その上で、そういう子を受け入れてくださる支援団体の整備、競技かるたの世界ではかるた会、などと呼ばれるものです。ここでは先述の外部指導者の方と連携していければ良いと考えます。そこで研鑽を積んだうえで、大会に臨んでいく。その大会も、何かランクごとに分けられていれば、同レベルの子たちと戦い合えるのでより活躍できると考えます。
とは言え、やはり週に1回ではなく、学校内で活動できる場を整備すること、つまりはクイズ部の設立支援を行うことが協会としての至上命題であると考えます。私はクイズのことが何もわからない中、この世界に生徒の情熱に動かされ入り、7年が経過しました。その中で、クイズのことを知らない教育関係者はこういう点を気にするというところについては若干の見識がございます。そういうところを、活かしていければ良いと考えます。学校への説得材料、早押し機提供環境の整備、公式問題集などの発行、お金の動きを生徒個人にさせない、これは18歳未満の児童生徒を扱う上での絶対条件です。また、実際に活動を始められてからのサポート体制の充実。何も知らないで顧問になられる先生が多いかと思いますので、協会としてバックアップしていきたいと考えます。
せっかくクイズに興味を持って頑張りたいのに、大手を振って活動できない。そういう子どもたちを、勤務校でも、他校でも多く見てまいりました。子どもたちが輝ける場の整備、大人がしないわけにはいきません。
最後に
子どもたちが目を輝かせてクイズをする姿に微笑ましく、かつ熱くなってくださるクイズ界の方はきっと多いはずだと信じています。私も、微力ながらクイズ界のイベントで多くの名だたるクイズプレーヤーの方々とクイズを通した触れ合いをさせていただきました。そういう方々は、みなさん子どもたちの活躍を目を細めて見てくださいます。母校の活躍を、まるで自分のことのように喜んでくださいます。そういう姿を見ていると、きっとこの協会の、中高生支援活動には賛同してくださるはずだ、と信じてやみません。今後、多くの子どもたちが興味関心を抱いてくれることを前提に、私は身も心も果てようとも、尽くしていきたいと思い、若輩者ながら手を挙げました。「お前にクイズの何がわかるんだ」。そう言われるのは承知です。「たかだか数年の活動で教育者を代表するような物言いをするな」。そう言われるのは百も承知です。しかし、私は言います。実際に悩み、立ち止まる子も見てきた、そういう子の支えになりたい。クイズを通し人生が変わった子も見てきた。そういう子を全力で応援したい。クイズには人を変える力がある。だからこそ、クイズをもっと知ってもらいたい。これが私の信念です。
皆様方のご協力がなければ、私が共鳴し感動した協会理念は成り立ちません。どうか、どうか、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。(神尾友也)