日本クイズ協会理事の大門弘樹と申します。このブログでは、初めて書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
前回は「中高生のクイズ活動をいかにして支援していくか」という観点で記事をアップさせていただきましたが、今回はそれより一歩手前の「子供たちとクイズとの出会い」についての、協会としての構想をお話させていただきます。
この7月より、競技クイズを題材にした部活漫画『ナナマルサンバツ』が、日本テレビ系列にてアニメ化されることをご存じの方も多いかと思います。かつて多くの子供たちが『ヒカルの碁』で囲碁に興味をもったように、あるいは『ちはやふる』で競技かるたの世界を知ったように、子供たちが初めて「対人で行うクイズ」というものに出会う貴重なきっかけになるに違いありません。これをきっかけに「クイズをやってみたい」と思う子供も、きっと増えるはずです。
しかし、残念ながら現状では、いざ子供たちが実際にクイズをやってみようと思ったときに、乗り越えねばならないさまざまなハードルがあります。「早押し機はどうすれば手に入るのか?」「問題はどうすればいいのか?」「誰が問題を読んでくれるのか?」などなど……。周りに教えてくれる大人も多く、道具も玩具店などで買い揃えることができる将棋や囲碁・かるたとは、それこそ天と地ほどの差があります(余談ですが、「囲碁の街」として知られる神奈川県の平塚市では『ヒカルの碁』ブームの頃、市内すべての小学校の全学級に『ヒカルの碁』のイラストが描かれた紙製の碁盤と碁石を配布し、子供たちへの囲碁の普及を図ったそうです)。
ただし、クイズそのものに関して言うなら、決して敷居が高いわけではありません。ゴールデンタイムには数多くのクイズ番組が放送されており、小学生のお子さんでも、それらの番組を通してお茶の間でクイズ自体に親しんでいるわけですから。それなのになぜ、「対人でのクイズ」をやろうとするとハードルが高くなってしまうのでしょう? その理由は「子供たちが集団でクイズを楽しむ環境が整備されてないため」であると私は考えております。
そこで、日本クイズ協会では環境整備の一環として、この夏休みより定期的に高校生以下を対象としたクイズ体験会を実施する予定です。まずは首都圏・近畿などからのスタートとなりますが、体制が整い次第、それ以外の地方でも実施していきたいと考えております。
この体験会で子供たちに触れてもらうのは、クイズ未経験でも楽しんでもらえるような「親しみやすいクイズ」です。学校のクイズ部に所属したことがある方なら、新入生に対する説明会で行うクイズをイメージしていただくとわかりやすいのではないでしょうか。クイズに正解したときの喜びや興奮は、プレイヤーとしてクイズに親しまれている方なら、誰もが経験したことがあると思います。そのような感情を、クイズ体験会を通してぜひ子供たちにも味わってほしい。そして、クイズという世界へと足を踏み入れるきっかけとなってほしい、と私たちは考えています。
どのような競技でもそうですが、上を目指す子に対しては、競技に打ち込める道筋を整えていくことが大切です。その一方で、競技のすそ野を広げていくために「興味を持った人が誰でも笑顔で楽しめるような、初心者・未経験者向けの門戸」も同時に展開してく必要があります。レベルに応じた様々なクイズを楽しめる場を用意していくことも、日本クイズ協会に課せられた当然の使命であると考えております。
まずは、「未経験者・初心者向けクイズ体験会の実施」と「中高生に向けたクイズ活動の支援」の2つが、日本クイズ協会の教育普及事業として取り組んでいく喫緊の課題であります。そしてこれらの課題に対し正会員の皆様と一緒に取り組んでいくことが、日本クイズ協会の齊藤会長、ならびにその想いに共鳴して集まった理事の職務でございます。
もちろん、こうした活動を日本クイズ協会の理事だけで継続していくことは難しく、趣旨にご賛同いただいた正会員の皆様に、会場の確保・早押し機の準備など、主に当日のご協力をお願いさせていただくことになるかと思います。ゆくゆくは各地に支部を置き、協会の理念に賛同してくださる正会員の皆様の手で体験会を運営していただくというのが理想の形でしょう。まずはこのような体験会を定期的に開催することが、『ナナマルサンバツ』をきっかけにクイズの世界に足を踏み入れるであろう子供たちの受け皿となると確信しております(体験会は「小学生」「中学生」「高校生」と分けて実施する予定です。その他、具体的な内容につきましては、準備ができ次第あらためてアナウンスさせていただきます)。