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クイズ作家・田中健一さんが教える大会攻略法とは?〜「第2回ニュース・博識甲子園」振り返り座談会・後編

2019/09/09 blog

2019年8月24日(土)に開催した「第2回ニュース・博識甲子園」(一般社団法人日本クイズ協会主催)の全国大会を、実況を務めたTBS・小林廣輝アナウンサー、解説の日高大介さん、問題作成の田中健一さん、「JQSグランプリシリーズ」初代王者の徳久倫康さん、日本クイズ協会代表理事・齊藤喜徳の4名に振り返ってもらいました。

 

前編、中編に引き続き、最終回となる後編では、問題の内容についてトーク。時事問題を中心に、ユニークな問題が多い「ニュース・博識甲子園」。問題作成を担当した田中さんが語る攻略法とは?(文責 日本クイズ協会理事・楠井朋子)

 

 

▼「第2回ニュース・博識甲子園」振り返り座談会
【前編】「クイズはスポーツ」TBS小林廣輝アナがクイズ大会初観戦で感じた2つの愛
【中編】「クイズの甲子園」チーム戦ならではの見所とは?
【後編】 クイズ作家・田中健一さんが教える大会攻略法とは?

 

 

(写真左から、徳久さん、日高さん、小林アナ、田中さん、齊藤)

 

 

実は簡単!? 「ニュース・博識甲子園」の攻略法

 

――今回、準々決勝(1回戦)で「5〇2×」(5マル2バツ=5問正解で勝ち抜け、2問不正解で失格)というルールでした。すごく厳しいのかな、と思いましたが、クイズではよくある形式なんでしょうか。

 

徳久さん:「5〇2×」は特別珍しいわけではありません。ただ、失格になるまで1問しか誤答できないので、焦らずじっくり問題を聞いて答えてくださいね、というメッセージがそのルールに込められているのではないでしょうか。

 

齊藤:プロクイズ作家の田中健一さんが考えた問題を噛み締めながらクイズをして欲しい、という気持ちは確かにあります。最初の何文字かを聞いたらすぐに答えられるような問題ではないよ、と。そこがつかめておらず、条件反射でボタンを押して誤答してしまうシーンもありました。

 

日高さん:準々決勝(1回戦)の栄東は10問ぐらい様子を見ている選手がいましたね。クイズ用語でこういうのを「棚」と言ったりするんですが、彼は今日の出題ジャンルや難易度がどれぐらいの「棚」に位置するのかを読んでいました。栄東は昨年の優勝校とあって非常に賢明な戦い方をしていたと思います。

 

徳久さん:去年出場した選手は田中さんの問題にどういう風に立ち向かえばいいのかを知っていたのでしょうね。

 

田中さん:そういう意味では「ニュース・博識甲子園」は対策しやすいと思います。去年も今年も問題は僕が作っているので、去年の問題をちゃんと分析していれば分かったかなと思います。

 

 

 

意外と正解が出なかった「あの問題」

 

――時事、科学、文学、歴史、芸能音楽、スポーツなど非常に幅広いジャンルから出題されました。意外と答えられちゃった問題、あるいは答えが出なかった問題はありましたか。

 

田中さん:意外と答えられなかった問題で印象に残っているのが準決勝、ボードクイズの「レベル1」の問題です。みんな知っているんじゃないかなと思って出したんですけれども……「巷」であったり、「メッセンジャーバッグ」だったり。もしかしたら大人だったらわかるかもしれないんですが、高校生には馴染みが薄かったかもしれないです。

 


――選手に「その知識はどうやって得たんですか?」と聞いたときに、TwitterなどのSNS で流れてきたから、と答えていたのも印象的でした。

 

田中さん:僕も実は SNS でよく情報収集しているんですよ。Twitterのタイムラインを見て、最近よく流れているこのツイートは何なんだろう、なぜよく流れているんだろう、ちょっと問題にしてみよう、とか。

 

小林アナ:大会当日のニュースも問題になっていましたね。

 

田中さん:「今日ニュースで見ました!」っていう選手がいないかなー、と思ったのですが……。

 

日高さん:大会当日はリハーサルがありましたからね(笑)。

 

――前日に練習した問題が出た、という選手はいましたね。

 

日高さん:大会の前日、地方勢はみんな同じホテルに泊まっていたんですよね。クイズ好きの高校生が集まったら「対策会」という名のクイズ大会が始まるので、その中で出たんでしょうね。夜の9時、10時まで対策していたと言ってましたが、大会公式ツイッターでは「早く寝ましょう」と書いてありました(笑)。

 

 

 

「ニュース・博識甲子園」の未来

 

――最後に一言ずつお願いします。

 

徳久さん:高校生向けのクイズ大会は山ほどあるんですが、どうしても首都圏の方がたくさん機会があって有利というところがあります。「ニュース・博識甲子園」のように全国いろんなところで予選が受けられ、レベルの高い人たちが一箇所に集まってくるという機会はあまりないので、ぜひ今後も続いていてくれればいいなと思います。

 

(戦いを終えて握手し合う優勝校・大阪星光学院の選手と、準優勝・仙台第二の選手)

 

日高さん:これから大会が大きくなっていくと、新たなまだ見ぬ強い高校が出てきたり、この大会を通じて強くなっていく高校があったりして、より広がっていくんじゃないかと思います。

 

小林アナ:後日、全国大会の様子がParaviで配信されますが、クイズじゃない別のことを取り組んでいる高校生が、Paraviで「ニュース・博識甲子園」を見て、「こういう頑張っている子がいるんだから、自分も頑張ろう」と思ってもらえたら嬉しいなと思います。

 

田中さん:僕も「謙虚な作家」なので、問題出題者としての反省もありました。もっといい問題を作れるように頑張りたいと思います。

 

齊藤:今日初めてクイズ大会を見た小林アナも虜にするぐらい魅力あるものなので、より多くの人に知っていただけるような仕掛け、仕組みを増やしていきたいと思います。また、よりいろんな選手が出られるよう環境を整えていきたいと思います。

 

日高さん:全国大会に出られるのは8チームでしたが、これが16チームに増えたりする可能性もあるのでしょうか?

 

齊藤:将来的にはそういう風にしていけたらいいですよね。今回予選に出場したチーム数は182あって、その中から8チームしか全国大会に出られないというのは相当ハードルが高いです。もうちょっと、全国大会の出場枠を増やしたり、あるいは予選に筆記以外の要素を入れたり、工夫していきたいです。

 

日高さん:会場に入る前にクイズをやったら面白くないですか? ここで勝てないと東京駅の手前でストップ!というような(笑)。

 

齊藤:(笑)。大会のファンをもっと増やしていきたいという気持ちはとてもあります。そのためにも、大会の知名度の拡大に取り組んでいきたいと思います。

 

小林アナ:僕、大会を通じてもう一つ思ったのが、運営している方って昔、クイズプレイヤーだったわけじゃないですか。先輩たちが今、クイズ作家やクイズプレイヤーとして活躍しながら、若手クイズプレイヤーのための環境を整備する、見守るということができているんだなと。

 

ーー前回優勝した栄東の森田くんが学生サポーターとして大会の運営を手伝ってくれました。

 

小林アナ:彼、番組制作スタッフのADみたいでしたよね。機材のコードの「八の字巻き」をキレイにやっていて、テレビ業界の人しかやらないと思うんですけれども(笑)。先輩たちがクイズに関わって後輩たちを見守っている、そんな構図が見えました。

 

(後輩を見守る森田くん=写真手前右)

 

日高さん:あとは泣く高校生を見てみたいですね、個人的には。

 

――舞台裏では、悔しくて、休憩時間に控え室でこっそり泣いている選手もいました。

 

日高さん:悔し涙もそうですし、歓喜の涙もそうですし。喜怒哀楽という感情を揺さぶるような舞台であってほしいなと、そういう仕掛けももっとあってもいいんじゃないかなと。つい、そういうのを見たくなっちゃうんですよね、「甲子園」だと。

 

齊藤:チーム戦というところと、学校対抗戦というところは残していきたいと思います。個人でクイズをやる人は非常に多いんですけれども、チーム戦で、高校の名前を背負って出てくるからこそ、というのは「ニュース・博識甲子園」の魅力だと思っています。

 

 


 

 

(「第2回ニュース・博識甲子園」振り返り座談会、おわり)

 

 

▼座談会バックナンバーはこちら
【前編】「クイズはスポーツ」TBS小林廣輝アナがクイズ大会初観戦で感じた2つの愛
【中編】「クイズの甲子園」チーム戦ならではの見所とは?
【後編】 クイズ作家・田中健一さんが教える「ニュー博」攻略法とは?

 

写真:日本クイズ協会


「第2回ニュース・博識甲子園」、Paraviで配信中

 

「第2回ニュース・博識甲子園」の全国大会の様子は動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信中となっています。またParaviでは、昨年の「第1回ニュース・博識甲子園」、大会をより深く解説する「JQSクイズ情報局」も配信中です。

 

【↓↓ご覧になりたい方は↓↓】

 

 

 


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